効率良い学習のためには運動をするタイミングが重要!公認心理師と学ぶ『学習』のメカニズム

公認心理師試験

公認心理師と学ぶシリーズ第2弾です。
個人的にはこういう記事をたくさん書いていきたいと思っています。

さて、今回のテーマは皆さん興味津々だと思う『学習』についてです。

学習する、記憶する、定着する、そして使いこなす。

これらのことを思い通りに自在にできたら嬉しいですよね。

学習というと、子どものときにやっていた『恋愛シミュレーションゲーム』を思い出します。

そのゲームは『勉強』というコマンドを選択するだけで学力が上がり、テストの成績が上がるシステムで、
子どもながらに「現実もこうだったらいいのにな~」と思って、現実とゲームの違いを認識させられていました。

みなさん『勉強』はすると思いますが、
ゲームのように「やったらやった分だけ身に着く!」とはなかなか思えないのでは無いでしょうか。

しかし、脳の学習のメカニズムをしっかりと把握することで、可能な限り「やったらやった分だけ身に着く」可能性をあげることはできるので、
今日はそれらについてお話ししていきたいと思います。

記事の最後に、公認心理師の過去問も掲載しますので、しっかりと読んでもらえたら記憶に残りやすいかと思います!

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【公認心理師の学習】

軸索から樹状突起へとニューロン結合

脳の学習のメカニズムといえば、ご存知ニューロンのシナプス結合!ですよね。

新たな学習の『刺激』が入ってきたときに、細胞体の『軸索』に蓄積されているグルタミン酸がシナプスを通じて次のニューロンに送られる。
そのときに、受け側の受容体の電位が上昇しグルタミン酸を磁石のように引き寄せて、『樹状突起』のシナプスから受信し、結合していきます。電位が発生することを『活動電位』とも言います。

「電位が上昇」し、と記載がありますが、「電位が発生する」という言葉の方がイメージが近いかもしれません。
なぜなら、『刺激』における活動電位の大きさは一定だからです。(受容体側の電位が高くなるから、そこに引き寄せされるという仕組みでしょう)

そして、この結合部分に信号を送り続けることで、ニューロンのつながりが強化されていきます。

このニューロン間の電気信号ですが、一本だけなら問題ありませんが、膨大な数のニューロンが周囲にもあります。
ニューロンネットワーク』という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
様々な情報伝達を行うニューロン回路が網目のように張り巡らされているのが脳の世界です。

たくさんの電気信号が混線しないような工夫も実は備わっています。
ざっくり説明すると、その電気信号が外に漏れて違う回路に出ていかないように絶縁物質で膜を張っているのです。
この膜を『髄鞘(ずいしょう)』と言い、これがあると安心して電気信号が送りやすくなります。
この髄鞘が有る線維(回路)を『有髄線維』と言います。
有髄線維もあるので、当然『無髄線維』もあり、こちらは膜が無いので電気信号が混線しないように慎重に回路を辿っていくイメージになります。

詳細な解説だと、有髄線維は絶縁物質によって『ランビエの絞輪』ができ、その部分だけを伝達する跳躍伝導(一足飛びで伝導するようなイメージ)ので、伝達速度が速いということになります。
この辺りは、図を用いてもっとわかりやすく解説しているサイトもたくさんありますので、興味が尽きない方は是非検索して調べてみてもらえたらと思います。

学習の起爆になるグルタミン酸は、神経伝達物質と呼ばれるもので興奮性神経伝達物質になります。

興奮性神経伝達物質

アセチルコリン
ドーパミン
アドレナリン

抑制性神経伝達物質

GABA(Gamma Amino Butyric Acid:ガンマアミノ酪酸)
グリシン
セロトニン

ドーパミンとセロトニンは「幸せホルモン」とも言われる幸福度と関連のある物質ですね。
GABAはストレスを緩和させる効果がある!と言われ、チョコレートとかになっています。
しかし、脳の中では抑制性神経伝達物質と言われるだけあってその効果はありますが、チョコレート(胃)で摂取したGABAが脳にいきわたることは無いので、効果は無いらしいです。

<<参考>>
公認心理師必携テキスト 第2版
今回の仕組みについては、この記事の方がより細かく書いていますが、このテキストにも網羅されていました。

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学習の効率を上げるということは

さて、ここからが実用的な話にもなってきますが、ある行動によって、学習のメカニズムを発生しやすくすることができるという研究がされています。

このシナプス結合をいかに発生させるか!?ということでもあります。
刺激に対して、軸索からグルタミン酸を通じて次のニューロンに送られたとき、ここでの結合率を高めることで学習が完成しやすくなります。
結合率を高めるとはどういうことか!?結合する条件が達成しやすくするということになります。

前述より結合する条件とは、
1、樹状突起のシナプス(受容体)の存在
2、受容体の電位が上昇すること

になります。

じつはこれらの条件を高める物質があります。
それが、BDNF(Brain Derived Neurotrophic Factor)と言われる脳由来神経栄養因子です。

研究者たちが、ニューロンにBDNFを振りかけると、ニューロンは新しい樹状突起を増やしていたそうです。(想像するとどうしても愉快な想像になってしまいます)

樹状突起が増えるということは、受容体が増えるということです。
さらにそれだけではなく、BDNFにより活動電位が生じやすくもなっているのです。

このBDNFを脳にふりかけまくれば、あらゆる情報の伝達が容易になるかもしれないということです。

そして、そのBDNFがどうやって手に入り、脳でふりかけられるのかと言うと『運動』することによって実現できるというのです。

記憶、学習に関しては様々な理論のもとに成り立っていますが、BDNFの取得方法については、実に多くの実験の結果からの情報になります。

ただ、現時点では運動とBDNFの関連性は、それを証明する実験の結果がそう見える、ということで理論的に証明されているわけでは無さそうです
。(論文とか漁ったらもっと詳しい情報あるかもしれません)

<<参考>>
脳を鍛えるには運動しかない!』(著:ジョン・J・レイティー)
上記の実験の内容や、具体的にどのような運動をすれば良いのかなども、より詳細に書いてあります。

結論

運動してから、勉強すると勉強効率が上がります。

勉強効率が上がると言っても覚えるきっかけが多くなるだけであり、
「一回で覚える天才」になれるわけではありません。
シナプス結合するだけでは長期記憶には繋がらず、やはりその後に何度も電気信号を送る復習により、強い電気信号を保たなければ忘れていってしまいます。

公認心理師過去問

第2回公認心理師試験
【問12】
神経細胞の生理について、正しいものを1つ選べ。

1 グルタミン酸は抑制性神経伝達物質である
2 活動電位は樹状突起を通して標的に送られる
3 無髄線維では有髄線維より活動電位の伝導速度が速い
4 シナプス後細胞の興奮性シナプス後電位は「全か無かの法則」に従う。
5 1つの神経細胞における個々の活動電位の大きさは刺激の強さにかかわらず一定である。

答え

1、2、3は記事前半を読み返してもらえたら答えがわかると思います。
4については、「全か無かの法則」に従うのではなく、「連続的に変化する」というのが正しい回答になります。

と、いうわけで、正解は

【5】

になります。

詳しい解説は、参考書にもあります。
<<参考>>
心理教科書 公認心理師 完全合格問題集 2020年版
2020年版には、第2回公認心理師試験全問の解説が載っています。

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