こうして逃げ癖が身に付いていく!公認心理師と学ぶ闘争ー逃走反応

公認心理師試験
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【公認心理師の学習】闘争ー逃走反応

人はストレスを感じた時や、ストレスを与えるもの(ストレッサー)に相対した時に、
闘う(fight)か逃げる(flight)かの反応をします。

闘って勝てる、または闘うことが自分にとって利益になると感じた時に人は闘い、
そうで無い時に逃避の反応を示します。

生理的機能としては、2つの経路があります。

HPA軸

視床下部(Hypothalamus)からコルチコトロピン放出ホルモンが分泌され
下垂体(Pituitary gland)前葉に届く。下垂体前葉から副腎皮質刺激ホルモンが分泌され、副腎に届く。
副腎皮質(Adrenal cortex)から、グルココルチコイド、コルチゾール、コルチコステロンなどのホルモンが分泌され、反応が引き起こされる。
反応の内容としては、
自覚できるものとして、「恐怖や不安などの感情の想出」「心拍数の上昇」「発汗」「こう内の渇き」などがあり、
自覚できないものとして、「神経伝達物質の活性化」「血糖値の上昇」「血中の炎症性タンパク質の増加」などがある。

経路の頭文字をとって、HPA軸と言われている。
このストレス反応システムを酷使することが子どもの成長にどのように影響をあたえているのかを研究した方もいます。[ロックフェラー大学 神経内分泌学者 ブルース・マキューエン]

SAM軸

ストレス刺激が加わった時、
視床下部からコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)が分泌され、
交感神経が興奮をし、
副腎髄質からアドレナリン、ノルアドレナリンが分泌され、闘争、逃走などの行動を制御します。
この視床下部ー交感神経ー副腎髄質という経路をSAM軸と呼日ます。

<<参考>>
『公認心理師必携テキスト第2版』
公認心理師の学習はもちろんですが、一家に一冊あっても良いと思えるような良い内容が記載されています。

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『公認心理師試験予想問題200』
心理学用語を関連して覚えやすいようにまとめて解説されている問題集です。
追い込みの学習にはかなり適した書籍だと思います!

実際の生活で役立てる知識

ある研究では、幼少期のストレス体験がどのように子どもの成長に影響を与えたかを調べていました。
そのひとつに、『アロスタティック負荷』と呼ばれているものがあります。
アロスタティック負荷とは、前述のHPA軸を酷使することで、これを幼少期より続けているとその子どもの成長に大きく影響を与えてしまいます。
どのような影響かというと『実行機能』と呼ばれる認知能力の低下です。
実行機能とは混乱した状況に対する対処能力で、感情面の衝動の抑制、ワーキングメモリ(作業記憶)などの機能であり、これが備わって無いと日々の学習や仕事の能率が非常に下がってしまうということにもつながっています。

<<参考>>
『成功する子失敗する子(著:ポール・タフ)』
私が子育てにおいて一番大切なのでは?と考えているのが『非認知能力』で、それについて詳しく説明している本です。
子どもに与えてあげられる最高の教育環境とは?
それの大きなヒントになると思います。

生活で気をつけること

子どもにとって親がストレッサーである場合、闘争ー逃走反応において、ほとんどが逃走反応を示します。(逃走しか選択肢がありません)
親からのストレスに対しては闘争し解消できることは少なく、ほとんどが逃走反応を示しながらアロスタティック負荷を受け続けることになってしまいます。
また、親の機嫌を伺うようになると、何も悪いことが起きてなくてもストレスを受け続けることにも発展してしまいます。
その結果、前述の研究のように、アロスタティック負荷を受け続けたことによる、実行機能の低下につながってしまいます。

勉強や宿題、運動など、やった方が良いこと、いずれやらなければならないこととわかっていても、
目先の「ツライ」「キツイ」という感情面の衝動を抑制できず、するべきことをできない状態につながってしまいます。

落ち着きが無い、じっと座ってられない、不快なことを我慢できない、暴力を我慢できない、
ある種これらの行動は発達障害も疑われることもありますが、
前述の研究では、家庭環境でのストレスを受け続けた結果である可能性も考えられます。

「そういう性格、性質」だと錯覚してしまうと、
本来であればストレス環境を改善することで対応できるはずなのに、するべきことができず、頭では分かっているが、感情や衝動を抑制できず、逃避的、回避的な反応を繰り返すようになってしまいます。

逃避的、回避的な反応しかできなくなった人がどのような人生を歩むことになるのかは、想像に難くないでしょう。

「打たれ強さを身に付けさせたい」「ストレス耐性を身に付けさせたい」
そう考える方もいらっしゃるかもしれませんが、ストレス耐性は「ストレスに慣れる」ということで身につけられるものではありません。

ストレスを与えずに教育していく必要があります。

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