子育てにおいて、「ほめる」は重要なキーワードのひとつです。
私が日ごろ子育てや不登校に関する相談を受けているのですが、
やはり、ここが『原因』と感じてしまう人も多くいるようです。
特に多い相談として、
・自分のほめ方(言葉の選び方)が間違っているんじゃないか?
・自分のほめ方に自信が無いんです
というものがあります。
例えば、
「うちの子は小学生のときは、なんでも人より上手くできて、人前に立つことも積極的にやっていたのですが、中学生くらいから少しずつおとなしくなってきて、今ではとても自身無さそうにしているんです・・・」
というような相談は毎年、けっこうな件数あります。
そして、
「最初から人よりできることをほめ過ぎたのが悪かったのかな、と思います。そのせいで努力しなくなってしまったのかもしれない」
「人よりできることを良しとしているから、人よりできなくなってきたときに自信を無くしてしまったのかもしれない」
「人前にたつことを、過剰にほめ過ぎたのかもしれない。」
という、後悔の言葉もよく聞きます。
確かに、努力せず出た成果をほめ過ぎることで、「努力すること」よりも「成果を出すこと」が重要だという価値観になる可能性はあります。
しかし、「成果を出すこと」が価値観としてあったとしても、「努力すること」をしなくなるということには必ずしもつながるわけではありません。
成果を出したいがために、必死で努力するという人だっていると思います。
また、逆に
「私がほめても全然効果が無いんです」
「お母さんにほめられてもうれしくないし、って言われるんです。」
「お母さんしかほめてくれない。って言われるんです。」
などという言葉も良くききます。
確かに、些細なことでも「すごーい!」「かわいい!」「上手ー!」と言ってしまう人っていますよね。
それが嘘だというわけではないのですが、抽象的過ぎる上に、レアリティが低く、軽く受け止められてしまいやすいです。
余談ですが、私が大学生ときからお世話になっている武道の先生は、めっっっっっっっったにほめてくれません。
だからこそ、たま~~~~~~~~~にほめ言葉が聞けたときに、すごく嬉しくなったりします。レアリティがLRぐらいあります。
今の世の中、ほめ言葉ごときにレアリティもたせるんじゃない!というような風潮がありますが、
個人的にはどちらでも良いのでは?と思っています。
ほめ言葉を出さずとも、しっかりと向き合って接していれば、関係性は構築されていくと思います。
とはいえ、上手にほめることはできるに越したことはありません。
英語を喋れるよりも、ほめ言葉をしゃべれるようになった方が良いと思っています。
国語、数学、ほめ語、英語は必修です。(言い過ぎ)
話が脱線してしまいました。
今回は、結構多くある相談の中から
・自分のほめ方(言葉の選び方)が間違っているんじゃないか?
ということについてのお話をしていきたいと思います。
これから子育てを始める方や、
自分のほめ方にいまいち自信を持てない方、
子どもに「こういう価値観を持ってもらいたい」と思っている方々など、
どのような魔法の言葉を使えば良いのかがわかるようになりますので、
是非ご覧いただけたらと思います。
ケース1:ほめ言葉が間違っているかもしれない
さて、ほめ言葉を選ぶためには、子どもに持ってほしい価値観を考えるところから始まります。
例えば、子どもが学校から帰ってきたときに
子「お母さん、今日学校でね、たくさん絵を描いてきたんだよ。」
母「たくさん絵を描いたんだね」
子「うん。友達がね、絵を描いてほしいって言ってくるから、みんなに描いてあげたんだ」
母「みんなに描いてあげたんだね」
子「うん。友達の好きな漫画とかキャラを聞いて、その絵を描いてあげたの。みんな喜んでくれたよ!」
というような、会話があったとします。
もうこんな話されたら、ほめたいですよね!
母「そんなことをいいから、さっさと宿題しなさい。」
とか、そんな言葉出せないですよね。(出す人もいそうですが・・・)
ここでどのような言葉を選んでほめるのかで、伝わる価値観が異なります。
1、「みんなに喜んでもらえるくらい、絵が上手なんだね。」
2、「みんなに頼まれた絵を描いてあげるなんて、優しいのね。」
3、「ひとりひとりの好きな絵を聞いて描いてあげるなんて、友達思いなのね。」
どれも立派なほめ言葉だと思います。
しかし、1~3の言葉によって、伝わる価値観が異なりそうですよね。
みなさんは、上記の言葉で、どのような価値観が伝わりそうだと感じますか?
1であれば、絵が上手なことは素晴らしい
2であれば、人の期待に応えることが素晴らしい
3であれば、友達思いであることが素晴らしい
と、ざっくり言えばこういう価値観が伝わってしまいます。
日ごろからしっかりと子どもに持ってもらいたい価値観、
あるいは、持って欲しくない価値観を考え、
それができる限り正しく伝わる言葉や、ほめる状況を想像しておくことで、対応できるようになっていきます。
どの価値観が良いということはありませんし、
親がこういう価値観を伝えたからと言って、その価値観が備わるとは限りません。
親子関係が良好であればあるほど、親の意思とは無関係に子どもは価値観を身に付けていくこともあります。それは、同じ価値観を持たなくても安心してそばにいることができるからです。
持って欲しい価値観、ということは難しいと思いますが、
持って欲しくない価値観は、ある程度想像しておいた方が、より後悔する可能性を減らせると思います。
みなさんが思っている以上に、親の言葉は子どもに響いています。
私たち自身も自分が思い出さないだけで、自分の持ってる価値観が親に影響されていることだってあります。
意識しても上手くいかないこだってありますが、
強い後悔にならないだけでも、大きな支えになりますし、
自分の望む価値観を大事にしてくれるようになる可能性もあります。
言葉が選べるようになると、子どもとのコミュニケーションが本当に楽しくなります。
できれば楽しい子育てライフを多くのご家族に送ってもらえたらと思っています。
<<参考>>
『子どもが育つ魔法の言葉』(著:ドロシー・ロー・ノルト)
この本は子育てに関わる人すべてに読んで欲しいと、本気で思っています。
実際クライエントの相談を受けているときに、この本を紹介してしまうことで「激しい後悔を与えてしまうのではないか・・・」と心配になってしまい、カウンセリングの中では進めることができないというような本です。
「もっと早くにこの本を読んでおけば良かった」と後悔させてしまうと思ってしまうくらい、素晴らしい内容の本です。
親が子どもに与える影響を、言葉や価値観だけでなく、いろんな面で具体的な事例を交えて紹介されている本です。
|
コメント