生きづらさの正体

カウンセリング

年々、カウンセリング件数が増えてきております。
年間でのべ1000人の相談を受けているカウンセラーとして、
日々の生活に悩みやすい人、苦しみやすい人など、生きづらさを感じやすい人の特徴がわかってきたので、それを紹介したいと思います。

その特徴を知り、そうならないようにするために意識することまでお話しできたらと思います。

結論:自分に合わない価値観を持ってしまう

さっそく結論ですが、自分に合わない価値観を持ってしまうと生きづらい状態になってしまう可能性があります。

例えば
・勉強することがどうしても苦痛なのに、良い大学に入らなければならないという価値観
・一人でいることが好きなのに、人間関係を大事にしなければならないという価値観
・働くことができないのに、生活保護はダメだという価値観
・努力することが嫌いなのに、他人に認められる仕事をしなければならないという価値観
・自己肯定感が低いのに、他人と良い関係を築くべきだという価値観

などなど、一般的には
・良い大学に入りたい → 勉強すればいいじゃない
・人間関係を大事にしたい → 他人とコミュニケーションとればいいじゃない
・努力するべきだと思う → 努力すれば良いじゃない
・生活保護は嫌だ → 働けばいいじゃない
・他人と良い関係を築きたい → 自己開示をすればいいじゃない
と、わかりやすい結論をアドバイスされがちな問題です。

「良い大学に入りたい。そのためには勉強すればいいんだ。よし、勉強しよう!」

となれる人は、悩まないですよね。

できている人からすると、
「やるだけなんだから、できないのはやる気が無いだけでしょ。」
としか見えない。

注意点

ひとつ注意しなければならないのが、
この問題は
「その人の性質と価値観の違い」
の問題なのか
「今の状態では本来の価値観に則った行動ができない」
という問題なのかの区別をつけなければなりません。

カウンセリングをしていくなかで、心理状態が回復することで
「良い大学に入りたい。そのためには勉強すればいいんだ。よし、勉強しよう!」
となれるようになった人をたくさん見てきました。

心理状態の見極めの難しさ

自己肯定感が低い状態だと、心理的な問題であっても自分の能力の問題だと錯覚し、
苦痛な努力を続けようとして、余計に心を病んでいってしまいます。

病院にいって、医師に診断されたら「そうなのか」と納得する人もいますが、
周りやSNSなどで、たった一人からでも「そんなの甘えだろ」などという意見を言っている人をみかけたら、それを大事にしてしまう。
結果できない状態で、できないことをやって、失敗を積み重ね、自己肯定感を下げるという悪循環に陥ってしまいます。

「やろうと思えば誰だって、なんだってできるんですよ。」

という言葉も「普通の人はそうかもしれませんが、私は違う。」という受け取り方をします。

引きこもりは必要なこと?

「引きこもり」が社会問題としてとりあげられていますが、
私は人によっては、必要な時間だと思っています。

前述のように、「たった一人の意見」で落ち込んでしまう状態にある人は、外からの刺激がまったく入ってこない状態になるということは必要である可能性があります。
そして、そうなったときにはやはり家族が全肯定で受け入れてあげることが重要です。

何をしなければならないのか?

自分のことを深く理解し、自分に合う価値観を育んでいくことです。

「時代遅れだ」
「役に立たない」
「誰にも見向きもされない」

そんなことを言われても、
「自分にとってはこれが良いんだ」
「自分にとってはこれが幸せなんだ」
と自信を持って行動できるようになっていくことです。

そして、大人であれば、その価値観に合わない人のそばにいないようにすることも大切です。

先日『底辺の仕事ランキング』というものがとても話題になりました。
そのランキングに掲載されている仕事は、どれも今の世の中に必要な仕事です。

底辺の仕事の定義づけとして
・肉体労働である
・誰でもできる仕事である
・同じことの繰り返し

とはあり、それには該当するかもしれませんが、「底辺の仕事」と言われて良い気がする人はほとんどいないでしょう。

メンタルが健康な人であれば
「まあ、その通りよね。でも自分はこれが好きだからやってるけど。」
と感じるだけですが、
メンタルが不健康だったり、他社の言うことを気にするタイプの人は
「そんな仕事をしてはいけない。」
と考えてしまい、自分の選択肢を減らしていきます。

この「底辺と言われるような仕事をするわけにはいかない」という考え方を「プライドが高い」という言い方をしているのをよく見かけます。

これ実は「プライドが高い」のではなく、「自分に自信が無い」状態なのです。

模試では東大合格の成績を持っていながら、自分にとって良いと思える環境を選んだ結果Fラン大学と言われる大学に進学した人がいたとします。
その人はきっと大学のことについて、何か言われたとしても気にはならないでしょう。
自分に自信があれば、他者からの評価は気にならなくなります。

自分に自信が無く、他者からの評価も低くなるような状況になりそうなことを避ける状態が「プライドが高い」ことを理由に動けなくなる状態です。

本当にプライドが高い状態の人は、コツコツと地道にできることからすぐに行動し、一刻も早く周りを見返せるようにと動きだします。

自分を知り、自分に合う価値観を身に付けるには

ここがすごく難しい問題なのです。
自分を知るためには、他人を知ることが一番早いのです。他者との比較で自分を知ることができます。

しかし、その他者と関わることが非常にリスクを伴うことでもあります。

だからこそ、カウンセリングが必要なのです。
その人を否定することのない、安心できるカウンセラーと出会い、対話することによって自己理解を深め、自分の価値観を知っていくことができます。

どうしてもカウンセリングを受けることが難しい場合は、ACTがお勧めですが、
これはまたの機会にお話ししたいと思います。

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