「人間関係が苦手」「環境に馴染めない」そのままでは危険な理由と対処法

カウンセリング

カウンセリングにおいて、仕事や学校など、社会生活に息苦しさを感じる相談は非常に多いです。

非常に多いというよりかは、ほぼそれに集約されているような気がします。

「周りの人と上手くやれないんです」

「どう思われているのか気になってしまうんです」

「嫌われるんじゃないか、と怖いんです」

「変な人、って思われたくないんです」

「役に立たないと思われるのが怖いんです」

などなど、他人の反応に不安や恐怖を感じ過ぎてしまいます。

その結果仕事などのパフォーマンスも低下し、
それが周囲からの評価が気になる要因になり、
より一層周りとの距離を開けるようになってしまいます。

周りとの距離が開くと、さらに信頼関係を築くことができなくなり、
相手が自分のことをどう思っているかわからないので、余計に不安になります。

周りが自分の敵かもしれない人ばかりになると、

「一回のミスで敵を作ってしまう(嫌われてしまう)かもしれない」

という不安になり、どんどん負のループに陥ってしまいます。

その状態でどうしようもなくなったとき、最後の手段として、転職したり、転校したりすることもあります。

しかし、転校、転職しても

「次こそは上手くやろう」

「また同じようになったらどうしよう・・・」

「周りは知らない人ばかりで、どうしたら良いかわからない」

「仕事も新しいことで自信がない」

「わからないことが多くて不安」

という思考になり、結局同じような状態を繰り返すことになります。

環境を変えて2回続けて失敗してしまうと、さすがに自信は無くなっていってしまいます。

なかなか、「環境を変えなければならない!」と考えてしまった人が、その環境に留まり続けて成功していくことは難しくはあります。(私の実体験の事例としては3割弱くらいです)

そして中には

「環境を変えて頑張ってみたのですが、失敗してしまい、もうどうしたらいいのかわかりません」

という相談も少なくありません。

ここまできてしまうと、
自己肯定感も低下しきってしまい、
「生きていても何も良いことが無い」
と、悲観的になってしまったり、
「なんとかして一発逆転狙うしかない」
と、変な詐欺などに手を出してしまうようなことになってしまったり、
あまり良い結果が待っているとは思えないような状態になってしまう可能性があります。

自己肯定感が下がってしまうと、行動も減ってしまい、周囲の人との関りも避けるようになってしまいます。
行動や人との関りが無くなると、成長も難しくなってしまうので、社会から取り残されていくような孤独感も感じてしまいます。
自分の力ではどうしようもなく、周りの助けも借りることが難しくなってしまうことにもなりかねません。

そうならないためにも、
そんな状態に陥ってしまった人がまず考えて欲しいことがあります。

私がカウンセリングをしているケースのほとんどが、
環境を変えて頑張ろうとするときに、その考えて欲しいことについてしっかりと向き合って考えることで、
その後の再出発で成功体験を積むことができています。

転職や転校・不登校の問題にもきっと役に立つと思いますので、
是非、読んでいただけたらと思います。

自分の価値観は何か

いろんな自己啓発本などたくさんありますが、気を付けて欲しいのは、

自分の夢を見つけてください
自分の生きる目的を考えてください
自分だけの目標を設定してください

というようなことではありません。

実際、心理的に活き活きしてないときに、夢や目標を見つけることはとても難しいです。(見つけることができて、そこから活気を取り戻せた人もいますが)

ここで言う価値観とは、
自分が何が好きで、何が嫌なのか
ということです。
社会生活が苦しくなる人は、自分が嫌なことでも周りが求めていたら合わせようとする人が多いです。
または自分が好きなことでも、周りを気にして言わないように、やらないようにすることも多いです。

そのような教育を受けてきた、という人は少なくないと思います。

そしてずっと我慢してきた嫌なこと、好きなことは我慢する(何も感じないようにする)のが当たり前になり、
「それが好き」、「それが嫌だ」という意識すら無くなってしまいます。

心理学では、それを『ビリーフ』とか『固定観念』と言われることもあります。

嫌なことは嫌。
好きなことは好き。

自分に素直になることがまず大切です。

自分を大切にしないと、周りの人を大切にすることもできません。

逆に、「自分は我慢しているんだから、周りも我慢するべきだ!」と言うことすらあるかもしれません。
世の中、自分に正直に生きることができる人もいます。

社会には我慢しろと言う人、我慢せず好きなようにする人が混在しています。
そんな周りの人すべてに合わせようとすると苦しくなってしまい、人間関係が難しいと感じてしまいます。

自分自身が、どちら側の価値観で過ごしていきたいのか、しっかりと自分自身と対話してください。

自分のできることは何か、自分のできないことは何か

通常は
・やるべきこと
・やりたいこと

を考えて、日々を過ごしていくと思います。

しかし、心理的に弱っている状態は、それすらも自分を苦しめることがあります。
「やるべきことがやれない」
「やりたいことができない」
これは、自己肯定感も自尊心も低下していき、より自分の心を追い詰めてしまいます。

そうではなく、今の状態でも
「できることは何か」
「できないことは何か」
をしっかりと考察した上で、
「できることはする」
「できないことはしない」
を心がけてください。

少しずつで良いのです。
些細な事でも良いのです。

できることを少しずつ増やしていけば、
心も少しずつ変わっていきますし、
心が活気を取り戻すことさえできれば、
やりたいこともできるようになってきます。

そうして成功体験を少しずつ積むことで、
自己肯定感、自己効力感を育み、より活き活きとした生活を得ることができるようになっていきます。

まずは何よりもセルフケアが大切です。

実は、この
「できることは何か」
「できないことは何か」
を考えるということは、心が健康な人も実践している人が多いです。

周りで「いつも元気だなー」と感じる人は、これを自然と実践している可能性があります。

どういうことかと言うと、

「考えたり、悩んだりしても仕方無いことは考えない」
「自分の力でなんとかできそうだな、と思えることはとことん対応する」

という行動につながっているのです。
得に前者がとても大きな意味があります。

カウンセリングで周りの目が気になるという人は、自分の力が及ばないことを気にし続け、対応しようとしていたりします。

他人が自分のことをどう思い、どう関わってくるかは自分の力ではどうしようもないのに、
「嫌われないように」「迷惑だと思われないように」と必死になってしまったりします。

たまたま、その人が朝嫌なことがあって機嫌が悪かったとしたら、
朝挨拶をしただけでも冷たい反応が返ってきてしまうことだってあります。
それすらも、自分の力で何とかしたいと考えてしまうのです。

有名な「ニーバーの祈り」という祈りの言葉があります。

神よ、
変えることのできるものについて、変えるだけの勇気を与えたまえ。
変えることのできないものについて、それを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、
それらを識別する知恵を与えたまえ。

ちょっと宗教的な印象があり、実際にこの祈りを捧げて始めるワークなどもあるので、拒絶反応を示してしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、
それでも、私は本当に良い言葉だと思っていますので、少し説明させてください。

不安を感じてしまう人は、変えるだけの勇気が足りないことがあります。
人は変化にストレスを感じる生き物です。
変えようと思うと、勇気が必要です。

私自身も、心理職の前はエンジニアの仕事をしていたのですが、転職する前にはかなり悩みました。
家族もいますし、エンジニアの仕事は生活や待遇、同僚も素敵な人ばかりで、とても良い会社でした。
しかし、自分の内側から出てくる不安を見過ごすことができませんでした。
結果、今はとても自分の生活には満足できていますし、あの時あの選択をして良かったとも思っています。(まだまだ先がありますが)

苦しんでいる人は、変えることのできないものについて、それを受け入れることができていない人がいるようにも思えます。
自分の力ではどうしようもないことについても悩み、苦しむことは本当に生きていること自体が苦しくなると思います。
中には、「自分の力ではどうしようもない」とわかっていても悩んでしまう人もいます。

そのような人には、まずは受け入れる冷静さを得るための周囲との関りが必要です。

そして、最後の
「変えられるものと変えられないものを識別する知恵」
これが本当に人生を左右すると思います。

心理学はその知恵として、
とても役立つものだと思っています。
周囲の人との関り、名著と言われる本、そして自分自身の体験。
人生を通して、その知恵を育み続けていくことで、
年をとればとるほど穏やかになっていけたら素敵ですよね。

是非、みなさんも
できることとできないことを考え、
できることを実行する勇気を得る手段を見つけてもらえたらと思います。

アドラー心理学で言う「勇気づけ」というものについても、お話ししたいですね。

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